炎症性腸疾患と白血球

潰瘍性大腸炎やクローン病の発症原因はいまだに解明されておりません。遺伝、食物、腸内細菌や免疫機能の異常などが関連しているのではないかと考えられておりますが、特に免疫機能の異常が重要と考えられています。

免疫機能とは、本来病気を予防する体のしくみで、病原体から我々の体を守ります。そのしくみの主役は白血球と言われる細胞で、様々な種類が含まれています。白血球は、「単球」「リンパ球」「顆粒球」に大きく分けられ、それぞれ働きが異なります。単球は、体に入ってきた細菌や異物などを食べ、リンパ球に伝えます。刺激を受けたリンパ球は免疫を活発にする物質を放出し、抗体を産生する細胞に変化するものも現われます。また反対に免疫反応を調節し炎症反応を抑えるリンパ球もあります。顆粒球は白血球の中でも最も数が多く、体内に入ってきた異物や細菌を食べ、体を守るという働きがありますが、過剰に増えると活性酸素、タンパク分解酵素などを放出し自分の組織をも破壊してしまいます。

潰瘍性大腸炎では、大腸粘膜に白血球(特に顆粒球)が集まって炎症をおこし、潰瘍やびらんを生じ、お腹が痛くなったり、下痢や血便になったりします。病変部位は、直腸から連続的に広がり大腸全体に及ぶこともあります。

クローン病は、腹痛、下痢、体重減少が主な症状ですが、患者さんにより病変部位が異なり大腸粘膜だけでなく消化管のあらゆる場所に炎症や潰瘍が起こり得ます。病変部位は潰瘍性大腸炎のように連続性はなく限局的で病変が多発し、潰瘍は深く、膿瘍(のうよう)、瘻孔(ろうこう)、穿孔(せんこう)などを生じることもあります。炎症が治まっても、腸管が狭窄(きょうさく)したり、皮膚や他の臓器と癒着(ゆちゃく)したりしてしまうこともあります。

膿瘍(のうよう) 膿汁(細菌や白血球の死骸、顆粒球のタンパク分解酵素などにより融解した組織)が溜まった状態、通常は細菌感染により引き起こされる。
瘻孔(ろうこう) 腸管から腹腔内の臓器に通じる内瘻(ないろう)と、腸管から皮膚などの体表に通じる外瘻(がいろう)とがある。
穿孔(せんこう) 潰瘍や裂溝などより腸管に孔があくこと。
裂溝(れっこう) 腸管全層に渡る幅の狭い溝状の潰瘍で膿瘍を伴い、穿孔の原因となる。
狭窄(きょうさく) 腸管壁の内腔がせばまること。

顆粒球吸着療法は、活性化した顆粒球や単球が病変部位へ集まっていかないよう体内を循環している血液から、それらを吸着除去し炎症をしずめていく治療法です。

アダカラムビーズに吸着した白血球の電子顕微鏡写真
監修:
東邦大学医療センター佐倉病院 IBDセンター長 鈴木 康夫先生