治療法について:外科的治療

外科的治療の適応

内科的治療で十分な効果がなく、日常生活に支障が生じる場合は手術が必要となります。なお、手術を受ける割合は、日本ではクローン病が発症してから5年で30%、10年で70%と報告*されており、小腸、大腸など病変の部位による差はないといわれています。
主に以下のような場合には手術が考慮されます。

絶対に手術が必要でそれ以外の治療法がない場合(絶対的適応)
  1. 腸に穴があいて腹膜炎になったとき(穿孔:せんこう)
  2. 腸の潰瘍から大量の出血があったとき(大量出血)
  3. 腸や痔瘻(じろう)に癌ができたとき(癌合併)
  4. 腸が細くなって詰まったとき(腸閉塞:ちょうへいそく)
  5. お腹の中やお腹の壁(腹壁)に膿がたまったとき(膿瘍:のうよう)
内科治療の効果などを考えあわせて手術をしたほうがよい場合(相対的適応)
  1. 腸が固く細くなったために、食物の通過が悪く、食事をしにくくなったとき(狭窄:きょうさく)
  2. 腸と皮膚や他の腸、膀胱などにトンネルをつくってつながってしまったとき(瘻孔:ろうこう)
  3. クローン病が原因と思われる腸以外の合併症のうち、小児の成長障害や皮膚に治りにくい潰瘍(かいよう)病変(壊疽性膿皮症:えそせいのうひしょう)などを生じたとき
  4. 色々な内科的治療でも十分な効果がないとき(内科的治療無効例)
  5. 治りにくい痔瘻(じろう)などの肛門病変があるとき

*厚生省特定疾患難治性炎症性腸管障害調査研究班 平成3年度研究報告書 P49-51より

腸管病変に対する外科的治療

クローン病の腸管病変は再発しやすいため、できる限り栄養の吸収に必要な小腸を切らずに残すことが原則です。

実際には、狭窄(きょうさく)、瘻孔(ろうこう)などの原因となった部分の腸だけを切除する少範囲の切除術や、小腸の短い狭窄(きょうさく)や残った小腸が短い場合には、狭窄(きょうさく)病変を切除するのではなく、手術で狭い部分を切開して縫い広げる狭窄(きょうさく)形成術という方法をおこない、できる限り腸を残すようにします。

また、狭窄(きょうさく)に対しては、内視鏡を用いてバルーン風船で狭窄を内側から膨らませて拡げる内視鏡的拡張術を行う場合もあります。

ハイネケ・ミクリッチ法

フィニー法

シャブレー法

肛門部病変に対する外科的治療

痔瘻(じろう)や膿瘍(のうよう)は切開して排膿しますが、病変が多発したり再発を繰り返す場合には、シートン法が行われます。種々の治療によっても日常生活を大きく制限するような肛門病変がある場合には、人工肛門造設術も検討します。

シートン法

監修:
東邦大学医療センター佐倉病院 IBDセンター長 鈴木 康夫先生