治療について:外科的治療

内科的治療では寛解に導入することが困難な場合には、炎症の起きている大腸を摘出 することが行われます。手術により大腸は失われますが、薬物やさらなる入院は不要となる場合がほとんどです。大腸を失うことによる機能障害もほとんどありません。

手術には重症や劇症でステロイド治療の効果が認められない時、大出血、中毒性巨大結 腸症や大腸穿孔などの重篤な合併症の起きた時などに、緊急に行う緊急手術と、難治性でQOL(Quality of Life)が著しく損なわれている場合や、ステロイドによる副作用がひどい患者さん、重篤ではないが合併症を起こしている患者さんなどに行う待機手術があります。

緊急手術では救命することが主要な目的であり、取り敢えず大腸のかなりの部分を摘出し、小腸(回腸)に人工肛門を作る(結腸全摘・回腸人工肛門造設術)のが一般的な方法です。待機手術では大腸の殆どの部分を切除し、回腸の末端を折り曲げて便をいったん貯める袋(パウチ)を作り、少し残した直腸と縫い合わせ、人工肛門は作らない(回腸嚢(のう)肛門吻合(ふんごう)術)方法と、一時的に人工肛門を作る方法があります。緊急手術で一時的に人工肛門となった患者さんもパウチと肛門をつなぐ二期手術を行うことで肛門の機能を復活させることができます。

潰瘍性大腸炎の術式
IRA(ileorectal anastomosis:回腸直腸吻合術)

結腸全摘して、回腸と直腸を繋ぎ合わせます。昔か ら行われている術式ですが、現在は限られた場合にしか行われていません。この術式では、パウチは作らず、回腸と直腸を吻合します。これは、直腸の炎症が比較的軽い時に行われる術式です。この術式の問題点は、長期間に何回も再燃を繰り返す危険性と発癌の可能性があります。

IAA( ileoanal anastomosis:回腸嚢肛門吻合術)

大腸全摘、すなわち結腸と直腸を切除し、残った直腸肛門管の粘膜を抜去することにより潰瘍性大腸炎に関係のある粘膜を全部取ってしまい、回腸でパウチを作って、肛門側から縫うという術式です。パウチの形は、現在一番多く使われているのはJ型で、その作り方は、自動縫合器を用いて器械吻合するのが普通です。この場合、一時的な人工肛門を作りますので、二期手術になります。Jパウチの口側に双孔の人工肛門を作っておいて、3ヶ月程たったら閉鎖します。

IACA(ileoanal canal anastomosis:回腸嚢肛門管吻合術)

IAAと同じくパウチ造設術になります。IACAと IAAとの違いは大腸を切除する長さになります。IAAは粘膜抜去をするので、完全に直腸粘膜を取ってしまいます。ところがIACAは、肛門管上縁に近い位置でパウチと直腸を吻合しますので1-2cm直腸粘膜が残ります。そのため、わずかですがその部分に炎症が起こる可能性があります。また、ガン化のリスクも残ります。メリットとしては、人工肛門をおかずに一期手術が可能という点と肛門機能が良好であることです。

監修:医療法人 恵仁会 松島クリニック 福島恒男先生
   東京山手メディカルセンター内科・炎症性腸疾患センター 髙添 正和先生