外科治療に関するQ&A メモを隠す
回答者:東京大学大学院医学系研究科・医学部 臓器病態外科学講座 腫瘍外科 教授 渡邉聡明 先生
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レコード番号 66
登録日時 2010/12/3 11:28 登録者 JIMRO
更新日時 2010/12/3 13:13
更新者 JIMRO

質問 潰瘍性大腸炎の術後の合併症にはどのようなものがありますか?
答え 術後の合併症には、術後の早い時期に起こるものと、時間が経ってから起こるものがあります。また、実際に行われる手術の方法によっても、合併症の種類は異なります。
(1)結腸亜全摘(けっちょうあぜんてき)・S状結腸粘液瘻(えすじょうけっちょうねんえきろう)・回腸人工肛門造設術(かいちょうじんこうこうもんぞうせつじゅつ)の場合
緊急手術で、S状結腸粘液瘻・回腸人工肛門造設術を行った場合の術後早期の合併症には、腹腔内の感染や、腸閉塞、あるいは残った腸からの出血などが起こる可能性があります。緊急手術でこの手術を行う場合には、全身状態が低下していて合併症は多くなります。また、すでに腸に穿孔(せんこう)が起こってお腹の中に便が漏れてしまい、感染症を起こしている場合には、術後はお腹の中に膿瘍(のうよう) ができたり、お腹の傷が膿んでしまう合併症などの確率が高くなります。また、残ったS状結腸、あるいは直腸から出血がみられることがありますが、これに対しては、局所的にステロイド剤を注入するなどの方法で対処できます。
その他、一般的な手術に伴う合併症(肺炎や肝臓、腎臓機能障害など) の発生する可能性もあります。
(2)大腸全摘術(だいちょうぜんてきじゅつ)を行って回腸嚢(かいちょうのう)と肛門を吻合した場合
大腸全摘術を行って、回腸嚢と肛門を吻合した場合の術後早期の合併症には、骨盤の中に膿がたまる骨盤内膿瘍(こつばんないのうよう) 、縫合不全(ほうごうふぜん)、回腸嚢の中からの出血などがあります。縫合不全とは、回腸嚢と肛門のつないだ部分がうまくつながらないために、便が腸の外に漏れてしまうことです。骨盤内膿瘍とは、直腸を切除した後の骨盤の中に膿がたまることです。回腸嚢からの出血は、小腸で袋状の回腸嚢を造ったときの小腸と小腸を縫合した部分から出血が起こるものです。これらの合併症には、さまざまな方法で対処できますが、そのような方法で十分な対処ができない場合には、再手術が必要な場合もまれにはあります。
その他、大腸全摘術の場合も、一般的な手術に伴う合併症(肺炎や肝臓、腎臓機能障害など)の発生する可能性もあります。
(3)手術後時間が経ってから発生する合併症
手術後時間が経ってから発生する合併症としては、回腸嚢炎、膿瘍、瘻孔などがあります。回腸嚢炎は、小腸で造った回腸嚢の中に炎症ができて、腹痛や発熱、下痢、下血などが認められます。回腸嚢炎は、何回も繰り返すこともあります。女性ですとパウチの炎症が強くて膣に孔があいたりして最終的にせっかく造ったパウチを切除しなくてはならない場合もまれにはあります。膿瘍は、体の中に膿がたまってしまう状態ですが、この膿のたまりから皮膚にトンネルができて膿が外に出てくる場合を瘻孔といいます。多くの場合、膿瘍や瘻孔は回腸嚢と肛門とを吻合した部分の周囲に起こります。これらの合併症が生じたときには、内科的に治療を行いますが、場合によっては再手術が必要となります。
カテゴリ 術後合併症について
参考図
参考図2

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